こちらは最高気温が氷点下5℃以下の日が続いています。道路の景色も1週間前とは違い、すっかり雪に覆われています。でも、道は朝に綺麗に除雪されているので車や歩行には問題ありません。
さて、足底腱膜炎について、今日でやっつけちゃいます。
前回は機能解剖学の視点から足底腱膜を見てみました。それをもとに、足底腱膜に最も負担がかかる状況として①足の内側に体重がかかる状態、②立脚終期の蹴りだし時(足関節背屈+足指伸展時)を挙げました。
2.(右)足底腱膜炎の原因
①足の内側に体重がかかる状態
●体の構造的な問題
僕の足は扁平足です。また、左右の足の長さが2cm弱違います(左<右)。立位では左足に体重が乗りがちです。
立位では常に左足に体重が乗っているため、常に右足部には内側方向へ回転力が加わっています。その結果、かかとの骨が内側に傾き、足のアーチに向かって体重がかかり、足底腱膜が伸ばされやすい状態になっています。
また、長年にわたってトレーニングをちゃんと行っていなかったため、股関節の筋力にも左右差が生じています(左>右)。特に股関節を内側、外側に開く筋肉がアンバランスです。これもおそらく、右足に体重が乗せない癖ができているため生じているものと思われます。
これら体の構造的な問題により、運動時には決定的に左右で動きが違います。これは片足スクワットをしたときに顕著に表れます。下図でいえば、左足でスクワットした際に左膝が内側に傾いています(Knee in)。このような状態だと、足の内側に体重が乗りやすく、足底腱膜にストレスがかかりやすくなります。
以前にも一度アップしましたが、現在自分が練習している屋内トラックは200mで、コーナーに傾斜がついています。つまり、反時計回りで周回する場合、コーナーでは右足の外側が内側に比べて高いことになります(足の裏が全部床についている場合)。すると、体重が足に乗っている限り、足の内側に体重がかかりやすくなり、結果として右足底腱膜へのストレスが増えることになります。
●体の構造的な問題
足関節背屈+足指伸展時に、足底腱膜は最も伸ばされます。立脚終期の蹴り出し時には、この関節位置でただでさえ伸ばされた足底腱膜に、立脚期で生まれた推進力が加わるので、相当な負担がかかります。
この際に、足首が硬いと、相対的に足の指がより大きく伸展を強いられることになります(下図)。
この図では、地面に対して左右共に同じ脛の傾きをしています。しかし、左図では足首が硬いために、足指が余計に伸展することで脛の傾きを生み出しています。この大きな足指の伸展によって、足底腱膜は余計に伸ばされ、ストレスが増すことになります。
●環境要因
普段、最近ブーツを履いているのですが、ブーツで足首の動きが制限された状態でも、上記のような状態が再現されます。大学は坂の上にあり、キャンパスも広いのでもしかするとブーツで長距離歩いたことも原因の一つかもしれません。
③急激な運動
人の体は可塑性に富んでいます。つまり、使わなければ弱り、使えば強化されます。これまでの運動量を超える負荷が短期間でかかったために、僕の足底腱膜は耐えられなかったのでしょう。
3.対策
ここまでくればやることは明白です。
①体重が足部の内側にかからないように、股関節周囲の筋トレをする、片足スクワットなどで特に股関節からKnee-inが生じないように動作練習をする(特にアップで)、扁平足が悪化しないよう、タオルギャザー(床に置いたタオルを足の指でたぐりよせる)を行う、周回は左右両方ともバランスよく行う
②蹴り返し時の過度の足指の伸展を防ぐために、足首を柔らかく保つ、アップでしっかり足首を伸ばす、ブーツの足首を動きやすくする(足首より上のヒモを緩める)
③急激に運動量を増やさない
これでだめだったら、また問題点の再考、対策の練り直しです。
こんな感じで、理学療法は論理的に、実験のように進められる面白さがある一方で、またメニューの発想力や問題点への考え方や、問題点に気づいたときのひらめきなど、創造力も求められるという側面もあるため、僕としては非常に面白いです。
今回の話題はどちらかというと整形外科の分野に近いです。ちなみに僕は神経系の病気の理学療法や運動制御の研究をしています。そちらも非常に面白い分野ですので、機会があれば、また。
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