こんにちは。
今日は0℃近くまで気温があり、だいぶ暖かくなってきました。
日本もすごい暖かいみたいですね。
最近授業やら研究やらで忙しく、ブログも週1ペースのアップになってしまいましたが、コツコツ続けたいと思います。
ジムにも週2~3回は行けているので、調子いいです。いつもだいたい同じ時間に行くので、顔なじみもできてきました。
さて、カナダで研究をするようになって聞く言葉が、"Knowledge Translation"です。
カナダではCIHR(Canadian Institute of Health Research) という機関が保健学研究のとりまとめ機関なのですが、そこでも常にこの言葉が強調されています。
http://www.cihr-irsc.gc.ca/e/29418.html
最近の傾向として、基礎研究、臨床研究問わず、常にこのKnowledge Translationを考慮した研究ビジョンがなければ助成金などが得られず、実質研究を行うことはできないようです。
なぜここまでKnowledge Translationが強調されているのかというと、社会のニーズに合った研究が求められているということが挙げられます。特に保健学という学問は、生物学、化学、物理学、生理学などとは異なり社会制度や経済、文化などの情勢によって変わり得る流動的な学問とされています。つまり、時間によって、また場所によって、求められるニーズやメカニズムは異なり、それに対するアプローチも必然的に多様化します。
CIHRで行われているKnowledge Translation は大きく2つの取り組みがあります。
1.研究者の取り組み
研究者や専門家が講座や、書物、インターネットなどを通して社会に情報を発信する従来から行われている取り組みです。
ごくシンプルにKnowledge Translationを考えるには、"So what?"(だからなに?)という問いかけがよく投げかけられます。どのような研究でも、最終的には社会に還元される内容でなければなりません。意外とこの問いは深く、しっかりと自分の研究背景や研究課題を整理していないと簡単には答えられません。
2.研究者・利用者共同の取り組み
現実的には、問題点や解決策は利用者の方がよく知っている、ということが少なくありません。
したがって、研究の最初から最後までを通して利用者(Stakeholder)にも参加してもらうという試みがなされています。(Participatory Research; 参加型研究)この利用者には患者さん・家族・政治家・教育者など、研究テーマに応じて多様なメンバーが集まります。
研究者も自分の研究に関連することであれば、ついつい口出ししたくなると思いますが、あくまでStakeholderが主体であって、この場での研究者の役割はあくまでファシリテーター(進行役)であるということが重要なようです。斬新です。
たしかに、研究者として大学の教授になった人だからといって、なんでも知っているわけではありません。
むしろ、研究者は自分の専門分野を究めていくわけですから、たくさんある山のうちの一つのトップにいるに過ぎません。良くも悪くも視野の限られた世界で生きているので、利用者側の感覚を兼ね備えた人は少ないかもしれません。
保健学分野のように多様なアプローチが要求される問題を研究者だけで解決できるはずはない・・・という反省に基づいているようです。
考えてみると、地方行政なんかも同じことが言える気がします。
市町村のトップがどんなにリーダーシップを発揮してあれこれ行っても、住民のニーズに合わない取り組みが多くあるのではないでしょうか。むしろ、住民や多様な専門職が積極的に参加して一体になって問題を明らかにして解決を図る・・・という方がうまくいく気がします。新たな知識の創出だけではなく、既存の知識の統合も大事なのではないでしょうか。
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