2014年2月28日金曜日

そういえば・・・

こんにちは。


早いもので、もう明日から3月です。
日本ではそろそろ入学、進級、卒業、入社、退社、異動など、節目の時期ですね。

こちらにきて半年ちょっと経ちました。
「あれ、まだ半年しか経ってないんだ」 というのが感想です。
中身が濃すぎます。濃縮されすぎていて、もう1年くらい経った気がします。

一般論で言えば、入学後半年という時期はまだまだ駆け出しです。
まだ半年なんだから、うまくいかないことが多くて当たり前。
多分、自分がほかの人に接する時もそう言っていると思います。

でも実際には大学ではそんなこと言ってられません。
時期に関わらず、能力がなければ授業について行けず、落第するのみです。
いまの時点で能力がなければ、決まった期間内に能力を身につける。

かなりChallengingですが、それを求めてモントリオールにやってきました。
そして、半年前の自分とは比べ物にならないほど学んでいて、研究者として成長できていることを実感できています。求められるものがはっきりしていると、成果もはっきりと分かります。

そして、前にブログでも書きましたが、新しいことを学ぶと、なにが分かっていないかが少し分かるようになります。これは本当に大事です。

半年でこれだけ濃い経験をしているので、とても得した気分です。


今週は先日決まったSupervisory Committeeの初顔合わせがあり、研究テーマをCommitteeの前でプレゼンしました。今回はメモを読まず、聞き手に語りかけることを心がけました。
Committeeの先生からはたくさんアドバイスをもらい、内容もとても充実したディスカッションができてよかったです。

再来週からプレゼンの授業が始まるので、今年の目標であるプレゼン能力アップめざして頑張りたいと思います。

研究の方は少しずつですが、形になってきました。まだまだまだまだ本格的な実験ができるまでには道のりが長いですが、のろのろと進んでいます。

2014年2月23日日曜日

カスピ海ヨーグルト

こんにちは。

年末年始に日本から帰ったときに、カスピ海ヨーグルトの種菌を持ってきました。
小学生の頃、たしか母が牛乳パックで作っていたのを覚えています。
普通のヨーグルトよりもモチモチした食感だったと思います。


ヨーグルトが自宅で作れて、それも継ぎ足せるなんて、貧乏学生が試さずにはいられません。


しかし説明書をよく読んでみると、

できあがったヨーグルトを種菌として、ヨーグルトを作り続けた場合、その品質や召し上がったあとの身体の状態については責任を負いかねます。

・・・と。赤字で。

たしかに、雑菌が入り込めば乳酸菌だけではなく雑菌も一緒に培養することになります。
そこで、説明書やネットで調べてみると、いくつかポイントがあるようです。


1.とにかく容器などを清潔に保つ
今回はジャムの空き容器を使うことにしました。煮沸消毒するといいと書いてありましたが、どうせならもっとしっかりと思い、一晩ハイターに漬けておいて、その後煮沸しました。

2.新鮮な牛乳を使う
一度開けた牛乳には雑菌が入っています。しかし、今回は家に牛乳が開封のまま残っていた(賞味期限内)ので、一度煮沸してから冷まして使うことにしました。

やはり雑菌を入れないのがポイントのようです。

説明書によると、一度作ったヨーグルトは上手に作っているかぎり、作り続けることができます。しかし気を付けていても少しずつ粘りや風味が変わり、乳酸菌が弱ったりしています。安心して食べるには、季節ごと(3か月に一度)のお取替えをおすすめします。

雑菌が入ったサインは、
1.味がおかしい (苦い、ピリピリするなど)
2.においがおかしい
3.色がおかしい
4.水分が分離し細かい泡のような穴が開いてしまった
など。このような兆候が表れたら食べずに捨てるのが良いそうです。

ちなみに、市販のヨーグルト(無加工)を菌種にして足すこともできるようです。




この種菌が2袋入りで1000円とかでしたので、3か月を1袋で過ごせば牛乳代を考えても十分もとは取れます!

 

2014年2月22日土曜日

Elevator Pitch

こんにちは。

ソチオリンピック盛り上がってますね。
こちらのテレビではカナダ選手が中心ですが、それでも日本人選手が出てくると思わず力が入ります。カナダは夏季よりも冬季オリンピックの方が盛り上がるそうです。

特にアイスホッケーはお家芸なので、カナダ女子代表が優勝した時はみんなその話題でした。男子も昨日アメリカに逆転勝ちしたらしく、特に相手がアメリカだっただけに熱くなってました。

今日はモントリオールは6℃まで気温が上がって、雪がずいぶん融けました。
来週はまたマイナス10℃くらいにはなるみたいですが、着実に春が近づいています!

今日もジムに行って、掃除して、料理して、勉強しました。
土曜はこれに限ります。

もっと料理のレパートリーが増えるといいんですが、独り暮らしなのでつい楽してしまいます。今日はカレーです。煮込むときに日本酒を入れてみました。意外とコクがでて美味しいです。


さて、いま授業では発音の授業を取っています。このコースは学期後半はプレゼンの授業になるので、前半の発音はオマケのつもりで取っていました。
しかしこの発音の授業が意外とためになっています。

授業の中で、Elevator Pitchというアサイメントがあります。
どうやらビジネスの場でもよく行われている練習みたいです。
これは以下のような場面を想定しています。

あなたは専門分野とは異なる学会に参加して、参加者の中にはその分野での権威もいます。

あなたはその会場でエレベータに乗りました。

エレベータのドアが閉まる直前、その分野で大物とされる人が駆け込んできました。

エレベータの中ではあなたとその大物だけです。

するとその人がおもむろに、「あなたは何の研究をしているの?」
と尋ねてきました。

エレベータは90秒で目的階に着いてしまいます。
その間に自分の研究テーマをしっかり伝えて、アピールしましょう!!




・・・という内容です。
http://protoscholar.com/2007/10/30/the-academic-elevator-pitch/ ←このサイトの内容の改良版です。

このアサイメントはとってもよくできています。

まず、専門外の学会ということで相手は自分の専門分野についてほとんど知らないという前提ですので、研究背景なども説明しつつ、なるべく専門用語は避ける必要があります。また研究が将来どのような成果を生むのか、またほかの分野への波及効果はあるのか、なども加えるとなお良いでしょう。

そして自分の研究を語らせれば誰でも延々と話せますが、90秒という時間も絶妙です。
簡潔に、でもしっかり相手に面白いと思ってもらえるような印象に残る内容に仕上げなければいけません。これは英語力だけの問題ではないですね。。

またこれは発音の授業の一環なので、しっかり習ったアクセント、発音、間合い、リズムなども反映させる必要があります。

誰にでもわかるように、そして面白い、もっと知りたいと思ってもらえるような内容に仕上げるのは簡単ではありませんが、それができないと自分の研究を理解しているとは言えません。

研究計画を立てている今の段階ではとてもためになる授業です。





2014年2月15日土曜日

Pleasant Saturday

こんにちは。

日本はまた大雪ですごいことになってますね。カナダなんかよりも雪降っているみたいです。
みなさん大丈夫でしょうか。


最近は土曜日が楽しみで仕方ありません。
今日も朝ジムにいって、ウェイトトレーニングして60分走ってきました。
授業の合間だとどうしても30分くらいしか走れないので、土曜日はじっくり走れるのでいいです。
走っていると頭がすっきりするので、心身ともに調子よくなります。
生活には欠かせません。


モントリオールでも日本を感じる瞬間があります。
今日はジムの壁にこんな張り紙がありました。



合気道の催し物があったようです。
合気道のほかにも、剣道、柔道、居合、空手の道場も街中にあるのを見たことがあります。

日本人はそんなに多くない街ですが、食文化や武道など日本を感じる瞬間がたまにあり、うれしくなります。


ジム行った後に食べ物の買い出しにJean Talonへ。冬場は市場は店が少ないと聞いたので、駅のそばのお店で済ませました。

  • 豚肉3kg
  • 野菜(じゃがいも、人参、玉ねぎ、マッシュルーム、NAPPA、ブロッコリー、もやし)
  • 果物(みかん、オレンジ)
  • キムチ
  • ふえるワカメ
  • 豆乳
これで$47。
安いのでつい買いすぎました。
ここは安いうえに比較的新鮮な青果、肉などがそろっているのでおすすめです!
日本料理に必要な材料もそこそこ売っています。

Marché Oriental St-Denis
7101 rue St-Denis
Montréal, Québec, H2S 2S5
http://marcheoriental.ca/fr/contact.html


家に帰って料理の合間に掃除しました。
これで夜は入浴剤で温泉気分で風呂入って、ビールでも飲みたいと思います。

特別なことはないけどいい土曜日だ~

2014年2月11日火曜日

Supervisory Committee 決定!

こんにちは。

こちらの大学院は非常に長いプロセスで、まだまだ終わりは見えてきません。
しかしカメのようなペースで着実に前に進んでいます。
自分はおそらくウサギとカメでいえばカメ派です。

先日、博士課程のSupervisory Committeeが決定しました。
これは、メインのSuperviorのみではなく、ほかに2名のCo-supervisorがつくというもので、主にその役割は研究に対しての助言、メインのSupervisorとのトラブルが生じた際の相談役というものです。


Co-supervisorをお願いするにあたって、自分の研究テーマを要約する作業をこの冬休みから取り掛かってきましたが、ようやく概要がまとまりました。今後の博士課程の長い月日をかける研究テーマなので、まだまだこれからも手直ししていきます。

ドキドキしつつメールでCommitteeのメンバーになるお願いをして、その日のうちに2人とも快諾をしてくれました。これはけっこう自分の中ではすごいことです。

McGill大学は世界の大学で初めて理学療法の博士課程が設けられた大学です。
Co-supervisorの一人には、その1期生、つまり理学療法課程での博士に世界で初めてなった先生がいます。

なんだか自分もすごくなった気分です。

これを勘違いというんですね。

このような恵まれた環境で勉強できることに感謝しつつ、これから待ち受けているであろう多くのハードルを一つ一つクリアしたいと思います!

ちょっと自分へのご褒美として日本土産の入浴剤で温泉気分を味わいたいと思います。。
現実では日々アサイメントに追われてますので、Committeeが決定したといって喜んでいる間はまったくありません。


さて、今日もジムに行ってきました。
最近駆け足が速くなってきています。着実に成果が出ています。。
春になって屋外を走れる日が待ち遠しいです!




2014年2月8日土曜日

いろいろ使った1日

こんにちは。

日本は記録的な大雪で大変なようですね。東京でも25cm積もったとか。
みなさん大丈夫でしょうか。


今日は朝ジムに行って、日々のストレスを運動で解消しました。
やっぱり運動で得られる充実感は、運動以外では補えません。

その後友達とラーメンを食べに行きました♪
店に入ると・・・


「いらっしゃいませー」


度胆をぬかれました。

そしてラーメンがうまい。店長が日本人の方のようで、日本のうまいラーメン屋さんの味です。
味噌、豚骨があります。
今日は米味噌ラーメンスペシャル($12.65)をいただきました。
サービスもばっちりで、JAPAN Qualityです。



Ramen Misoya
2065A Bishop
Montréal, QC H3G 2E8 Phone number (514) 373-4888


大学からも歩いて行ける距離にこんなお店があったとは・・・
値段が少々高いですが、味がいいので納得です。
 モントリオールでこのクォリティーは本当にすごい。


その後、念願だった加湿器とプリンターを購入しました。
セール中だったため、$50節約できました。



こちらはただでさえ湿度が低いのに、暖房がよくきいているおかげで、屋内は空気がカラカラです。
屋内でも1日あれば濡れたジーンズも乾いてしまいます。
朝起きた時のノドの不快感はなかなかのものです。
加湿器はずっと欲しい一品でした。


また、プリンターも必須です。
これまでは学校のコピーマシン(有料)を使っていました。
アサイメントの提出日に印刷しようとしたら紙切れやトナー切れでキャンパス中のコピーマシンを歩き回ることもありました。
文献も紙ベースのほうがやはり読みやすいので、やはりずっと欲しい一品でした。
最近はワイヤレスが標準装備なんですね。


その後図書館で勉強して、家に帰ってきました。



今日は頭も体もお金もいっぱい使った1日でした!


2014年2月2日日曜日

帰る場所

こちらではよく、「日本のように恵まれた国が故郷でうらやましい」と言われます。
この言葉を聞くたび、どうも後ろめたい気持ちになります。


いま自分が在籍しているプログラムのうち、約3分の1は留学生です。修士の学生を合わせると、だいたい半数は留学生になります。

ブラジル、イラン、中国、台湾、フランス、トルコ、アラブ首長国連邦、インド、ロシアなど様々な国から留学生が来ています。

これらの学生のうち、カナダへ永住することを決めている人がかなりいます。
永住するということは、祖国の親・きょうだい・親戚・友人などとも別れることになりますし、移民国家のカナダとはいえ、移民の1世は楽な生活ではありません。

みんな、祖国はもちろん恋しいのですが、一生住むとなると、安全、自由、福祉、衛生、子供の教育など様々な理由からカナダのほうが住みやすいため、苦渋の決断のようです。

移住するにあたって、カナダの大学院の課程を卒業していることや専門技能を持っていることは非常に大きな強みになるようです。

概してこのような留学生は人生賭けて進学してきていますから、必死です。
そして能力が高い人が多いです。

自分は将来は日本に帰る予定です。海外に住むとつくづく日本はいいところだと思いますし、まだまだ日本をよくしないといけないと思います。


帰る場所は違いますが、彼らに負けないように必死に勉強します!
今週もがんばるぞー

2014年2月1日土曜日

日本 - モントリオール 地下鉄対決!

こんにちは。

以前モントリオールの地下鉄について少し紹介しましたが、Wikipediaに詳しく載っていました。 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84

ゴムタイヤの車輪は、急勾配でもグリップが効いて走れる他、低速での減加速が行いやすいため、駅の間隔が狭いような地下鉄では適しているとのことです。

ただし、転がり抵抗が大きいため燃費は悪いそうですが、そこはケベック州の豊富な電力供給が十分補えるのであまり問題にならないのかもしれません。

Wikipediaと同じことを書いても仕方ないので、モントリオールと日本の地下鉄を比べてみました!鉄道について詳しくないため、利用者側からの感想です。


*乗り心地*
<日本のほうが優れている点>
  • 座席:モントリオールは座席がプラスチックでクッション性がないです。慣れれば気になりませんが。
  • 清潔:あらゆるところに駅で配っている新聞紙が落ちています。ポイ捨て。もうこれはフランス文化の一部なんでしょうか。こちらに来て初めのうちは拾ってゴミ箱に入れたりしていましたが、まったくキリがないので最近はやめました。
  • 運転:モントリオール地下鉄は運転が荒いです。急加速・急停車がけっこうよくある ため、手すりにつかまれないときには膝を曲げていつでもバランスとれるようにしておく必要があります。いいバランス練習です! あと、完全に停車し終わる前にドアが開きます。
<モントリオールのほうが優れている点>
  • 音:レールと車輪の摩擦音が少なく、「キィー」という音がないです。
*待ち時間*
比較できません。なぜならモントリオールの地下鉄は時刻表がありません(あるのかもしれませんが、どこにも掲示されてません)。平日の通勤時間帯なら、3-5分間隔で来るので調べる必要もありません。したがって、待ち時間という点ではあまり困ることはありません(人身事故を除いて・・・)。

*安全面*
日本のほうがやや勝るか...ただ、モントリオールも十分安全です。日本の地下鉄は世界一安全でしょうから、十分です。基本的に町の人は優しいですし、最低限の防衛策をとっていれば大丈夫です。特に冬はホームレスがお金を求めてきますが、きっぱり断れば深追いはしてきません。ただ、グリーンラインのBERRI-UQUAM駅より東は夜間などは注意が必要です。

*複雑さ*
モントリオールの地下鉄はかなりシンプルです(青、オレンジ、緑、黄色)。東京の地下鉄は日本人でも迷います。ただ、日本のように私鉄からの乗り入れのような仕組みはありません。



*運賃*
比較できませんが紹介します。片道一律$3です。乗り換えも自由。モントリオール市内で1時間半以内であれば、バスも含めてこの値段です。なお、1日乗り放題は$10、3日乗り放題は$18、10回回数券は$25.50、1週間定期は$24.50、1か月定期は$79.50です。OPUS カードという、SUICAのようなICカードを最初購入して、チャージして利用します$6 (4年間有効)。
http://www.stm.info/en/info/fares/transit-fares

*バリアフリー*
これは両国でまだまだ課題が多い問題です。日本でもエスカレータのみの駅も多いです。モントリオールの駅も大抵はエスカレータがありますが、時々止まっていることもあります。車いすの方は地下鉄での移動は難しいかもしれません。車いす用スペースが設けられている車両があります。

*乗客のモラル*
場所が変われば常識も変わります。しかし概してモントリオール市民はモラルはいいと思います。一見ちょっと強面のお兄さんも、お年寄りがくれば席を譲ったり、ベビーカーを下すのを手伝ってあげたりしています。ただ変人はやはりたまにいます。それはどの国でも同じ。

*駅員のサービス*
これは間違いなく日本のほうが優れています。基本的にはチケット売り場以外に駅員はいません。いきなり英語で話しかけず、フランス語で話しかけると印象が良いようでその後の応対も丁寧になるみたいなので、こういう時にフランス語を少しでも知っていると便利です。

*駅舎の構造*
<日本のほうが優れている点>
  • 駅にトイレがある:モントリオールの地下鉄駅にはトイレがありませんので、注意してください。たぶん、モントリオールにはトイレは無い方が衛生的にも安全面的にもいいかも?
<モントリオールのほうが優れている点>
  • 駅舎がとにかく個性的:同じ構造の駅が一つとしてありません。タイルの色使い、天井の彫刻、造形、採光などとにかく凝っていて、見ていて面白いです。唯一、Sherbrooke駅は作りがつまらない、と言われています。でも、壁に大きな絵が飾ってあって良いと思いますけど。
  • ストリートパフォーマンスをしている:ギター、歌、ヴァイオリン、サックス、民族楽器、竹馬(?)などなど。
Sherbrooke駅


Namur駅

 
 このハープのマークのあるところでストリートパフォーマンスが行われる

 *結論*
モントリオールの地下鉄は十分に楽しめて信頼できる交通手段です!

Knowledge Translatioin

こんにちは。
今日は0℃近くまで気温があり、だいぶ暖かくなってきました。
日本もすごい暖かいみたいですね。

最近授業やら研究やらで忙しく、ブログも週1ペースのアップになってしまいましたが、コツコツ続けたいと思います。
ジムにも週2~3回は行けているので、調子いいです。いつもだいたい同じ時間に行くので、顔なじみもできてきました。

さて、カナダで研究をするようになって聞く言葉が、"Knowledge Translation"です。
カナダではCIHR(Canadian Institute of Health Research) という機関が保健学研究のとりまとめ機関なのですが、そこでも常にこの言葉が強調されています。
http://www.cihr-irsc.gc.ca/e/29418.html

最近の傾向として、基礎研究、臨床研究問わず、常にこのKnowledge Translationを考慮した研究ビジョンがなければ助成金などが得られず、実質研究を行うことはできないようです。

なぜここまでKnowledge Translationが強調されているのかというと、社会のニーズに合った研究が求められているということが挙げられます。特に保健学という学問は、生物学、化学、物理学、生理学などとは異なり社会制度や経済、文化などの情勢によって変わり得る流動的な学問とされています。つまり、時間によって、また場所によって、求められるニーズやメカニズムは異なり、それに対するアプローチも必然的に多様化します。

CIHRで行われているKnowledge Translation は大きく2つの取り組みがあります。

1.研究者の取り組み
研究者や専門家が講座や、書物、インターネットなどを通して社会に情報を発信する従来から行われている取り組みです。

ごくシンプルにKnowledge Translationを考えるには、"So what?"(だからなに?)という問いかけがよく投げかけられます。どのような研究でも、最終的には社会に還元される内容でなければなりません。意外とこの問いは深く、しっかりと自分の研究背景や研究課題を整理していないと簡単には答えられません。

2.研究者・利用者共同の取り組み
現実的には、問題点や解決策は利用者の方がよく知っている、ということが少なくありません。
したがって、研究の最初から最後までを通して利用者(Stakeholder)にも参加してもらうという試みがなされています。(Participatory Research; 参加型研究)この利用者には患者さん・家族・政治家・教育者など、研究テーマに応じて多様なメンバーが集まります。

研究者も自分の研究に関連することであれば、ついつい口出ししたくなると思いますが、あくまでStakeholderが主体であって、この場での研究者の役割はあくまでファシリテーター(進行役)であるということが重要なようです。斬新です。


たしかに、研究者として大学の教授になった人だからといって、なんでも知っているわけではありません。
むしろ、研究者は自分の専門分野を究めていくわけですから、たくさんある山のうちの一つのトップにいるに過ぎません。良くも悪くも視野の限られた世界で生きているので、利用者側の感覚を兼ね備えた人は少ないかもしれません。
保健学分野のように多様なアプローチが要求される問題を研究者だけで解決できるはずはない・・・という反省に基づいているようです。

考えてみると、地方行政なんかも同じことが言える気がします。
市町村のトップがどんなにリーダーシップを発揮してあれこれ行っても、住民のニーズに合わない取り組みが多くあるのではないでしょうか。むしろ、住民や多様な専門職が積極的に参加して一体になって問題を明らかにして解決を図る・・・という方がうまくいく気がします。新たな知識の創出だけではなく、既存の知識の統合も大事なのではないでしょうか。