オバマ大統領が来日し、安部首相との記者会見の中で「アメリカへ留学する日本人を今年度6000人支援する」との発言がありました。
アメリカへの留学を志している人からすると、棚からぼたもちです。
この支援がどのようなものかはわかりませんが、国外に出ていく留学生を増やすという試み、国を挙げてこれほど大規模に行うというのはあまり聞いたことがありません。
しかも特定の国に向けて。
なにを目指して、6000人の学生をアメリカに送り出すのでしょうか??
若者の交流促進のため?どんな若者が対象なのでしょうか??
多くの国の大学で、留学生の「獲得」は大変重要です。
もちろん日本も例外ではありません。
それはなぜか?
- 授業料が高く取れる
- 優秀な人財が多い
- 人脈が広がる
今回はこれらの点を留学生の視点から、考えてみたいと思います。
日本と英語圏の大学しか知りませんので、あしからず。
1.授業料
<日本以外の場合>
国や州、大学によって異なりますが、概して地元出身の学生に比べて留学生は倍以上の授業料を収める必要があります。
また、英語圏の大学では大学付属の語学学校があり、語学力のない段階から留学生を受け入れています。学生にとってのメリットは、これら大学付属の語学学校で特定のレベルの授業を修めると出願の際にTOEFLやIELTSなどのスコアを免除できる場合もあります。
しかし、このスコア免除、落とし穴も多いため、よくよく調べて、頼りすぎないで臨んだほうが安全かもしれません。自分は日本で勉強して、要求されたスコアをクリアしてから出願しました。
このように、授業料や語学学校など、国や大学にとって大きな収入源になるのは間違いありません。留学生の獲得は、大学経営にとっても大変重要なようです。
<日本の場合>
日本への留学生はどうなのでしょうか。
国公立、私立を問わず、多くの大学が日本人の学生と同じ授業料のようです。
また、学費減免制度なるものもあり、授業料は日本人よりも少ないこともあるようです。
(http://www.jpss.jp/ja/life/before/7/)
2.優秀な人財が多い
留学生の獲得のためには、大学を魅力的なものにしなければいけません。
大学の魅力とは?
それは研究・教育・職能・就職が高水準であることではないでしょうか。
これらを実現するのは、教授陣と学生です。
優秀な学生を獲得する→成果が生まれる→評判が高まる→優秀な学生・教員が集まる→学費・研究費が増える→さらに大きな成果が生まれる・・・・
単純ですが、このような好循環が生まれることが大学の価値を高めることにつながり、優秀な人財の確保はその要といえます。
留学生だから優秀、というわけでは決してありませんが、母国を離れてまで勉強する学生、とくに途上国からの留学生はモチベーションも能力も非常に高いです。
またこれらの優秀でモチベーションの高い留学生は現地の学生の刺激にもなります。
3.人脈が広がる
留学生はやがて卒業し、そのまま留学先の国に留まる者もいれば、母国に帰る者、他国に渡る者など、さまざまです。
これらの留学生はやがて様々な国で働くことになります。大学からすれば、卒業生が世界各地にいるということは研究・就職の場が世界中に広がることになります。
国を超えた大規模な研究も卒業生を通して行われることがあります。リハビリテーションの分野でもすでに行われています。
では、日本への留学生はどんな状況なのでしょうか?
日本への留学生の総数は毎年増加しています。
出身国別にみると、 2010年時点では総数137,756名で、中国(62.7%)、韓国(12.1%)、台湾(3.4%)、ベトナム(3.2%)、ネパール(1.8%)の順のようで、アジア圏が92.3%を占めるようです。
(http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data12.html)
参考までに、カナダへの留学生は265,000名(2012年)です。日本の統計では1桁まで数えているのに対して、カナダでは1000人単位で切り捨てなのも、国柄を反映しています。
(http://www.cbie-bcei.ca/about-ie/facts-and-figures/ )
国別にみると、中国(30.4%)、インド(10.9%)、韓国(7.9%)、サウジアラビア(5.4%)、米国(4.6%)の順です。
先に述べましたが、日本の場合、留学生は学費の安さ、という観点からはとても魅力的な留学先といえます。しかし、もし、日本の大学での留学生の学費が英語圏の大学のように高かったら、本当にこれらの国からの留学生は集まるのでしょうか?
本当に優秀な学生は、英語圏の有名大学へ進学しても奨学金をもらえますので、学費という点はあまり考慮しないかもしれません。
日本の現状では日本への経済的なメリットも、優秀な学生を集めるという観点からも、効果は薄いのではないでしょうか。
現在留学している学生立場からすると、留学生の学費が現地の学生と同額というのは、とてもフェアでありがたく、大きな魅力です。
あとは、学費以外の魅力、つまり大学としての本来の魅力、研究・教育・職能・就職の水準を高めることに尽きるのではないでしょうか。
とても簡単にはいきませんが、お金をジャブジャブ使って学費の支援だけしていても、根本的な解決にはつながらない気がします。。。
留学生が卒業する際に、「学費が安かったからまぁこんなもんか」ではなく、「お金をかけてでも日本に留学してよかった、多くを学べた」、と思ってもらえるような受け入れ態勢ができるといいですね。
ましてや少子高齢化で日本人の学生は今後減る一方なわけですから、留学生獲得は大学や国にとってとても重要な戦略になります。
いま自分はカナダに留学して、すでにすごいたくさんの良い経験をさせてもらっています。
学費が高くても(アメリカよりは安い)、世界中から留学生が集まるのも納得です。
今の経験を、必ず将来日本で役立てたいと思っています。。
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