たまには大学院生らしい情報を共有したいと思います。
日本で学生をしているときには、統計解析といえばSPSS、生体信号(筋電図、動作解析装置、フォースプレート)の解析ならそれぞれの付属ソフトやエクセル上で解析を行っていました。
まずこちらに来て、みなMatlabを使っていることに驚きました。
恥ずかしい話ですが、昨年9月時点では
「Matlabってなに?」
という状態からのスタートでした。
これまでの人生でプログラミングも全くの未経験でした。
Matlabは、数値解析ソフトです。
写真や動画、音声から生体信号などの解析、統計解析もたいてい行えるという大変な優れものです。学生版なら$100くらいで購入可能です(学生のみ)。
プログラミングもそれほど複雑ではないので、プログラミング未経験の自分でも最低限のことはできるようになりました。それに何より、分からないことがあってもネット上で探せばたいてい解決策が見つけられる世の中です。
しかし学生版の欠点はライセンスが複数のPCで通用しないこと。
つまり、ダウンロードしたPC以外ではライセンスが使えないので、新しく買い替えを考えている時期にはダウンロードするのはもったいないんです。
そこで、Octaveというフリーの数値解析ソフトがあります。
ほぼMatlabと同じプログラミング言語ですので、Matlabと同じscriptで共有できる優れものです。家でoctaveでscriptを作成し、研究室や学校のPCでMatlabで確認する、という方法ができるので助かっています。
OctaveにはいくつかGUI(アイコンなど操作しやすいインターフェイス)があります。自分はQTというのを使っています。OctaveはもともとLinuxユーザー用に作られたので、Windowsでは最新のバージョンは使えませんが、今のところは問題なく使えています。
また、さらに助かるのはフリーの統計ソフトの存在です。
フリー統計ソフトの覇者は「R」です。
SPSSのライセンスは数十万円ですので、フリーソフトの威力は絶大です。
Rの信頼性はかなりのもので、カナダの気象庁などもRを使っているみたいです。
現に、こちらの統計の授業ではすべてRを使って宿題などが出されています。
Rの弱点は、いちいちpackageをインストールしなければいけないこと。基本的な解析はもともとのソフトに含まれているためpackageのインストールは不要ですが、少し複雑な統計解析などが必要になると、どのpackageをインストールすべきか調べる手間があります。
ただ、やはりこれもインターネットを使えばかなり簡単にわかるので、あまり問題には思えません。
これまで自分はプログラミング経験皆無だったため、Rの画面を見たとたんにアレルギー反応がでていました。しかし、やはりRにもGUIが多く存在します。自分はR studioというのを使っていますが、R commanderというのを使えばプログラミングが不要だとも聞いたことがあります。なによりも、プログラミングとか言ってもやってる内容は非常にシンプルなので、地道に継続すればだれでも最低限のレベルはマスターできます!もちろん上を目指せばプログラミングもすごい領域みたいですが、自分は最低限できればいいかな、という感じです。
データの解析は知りたいことを数値化する手段でしかありませんが、手段がたくさんあると行える研究の幅もぐっと広がります。これらのソフトの強みは、さまざまなデータを解析することができる柔軟性にあります。一つ一つの装置ごとに付属のソフトを使うよりもはるかに効率が良いですし、なによりも自分で解析のプログラムを作るため、解析の過程がしっかりと理解できます。
インターネットやパソコンの普及で知識はどんどん無料で、しかもボタン一つで簡単に共有される時代になってきているんだと実感しました。手にした情報の背景が分からないでも簡単に情報が手に入ります。これは研究分野にも言えることです。
ボタンをポチッと押せばあとはコンピュータが結果を出してくれて、実際なにをしているんだかわからないだなんて、研究の魅力がありません。致命的な間違いを犯すリスクも高いです。
複雑な解析ができることがすごいのではなくて、その背景がしっかりしていれば、単純な解析でも、高度なプログラムに頼らず手で一つ一つ行う解析でも、立派な研究ができます。
情報に対する確かな基盤があれば、判断も間違えないはず。あふれる情報に翻弄されるのも、うまく利用するのも個人次第です。
やっぱり基礎が大事なんだとフリーソフトを通じで実感しました。
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