2013年10月26日土曜日

TOEFLスコアが大学入試に必要?

こんにちは。
ハロウィンですね。ダウンタウンでは普通にゾンビがカフェでお茶していたり、地下鉄に乗っています。

さて、ネットで見つけたちょっと前の記事ですが、気になるものがありました:『「大学入試にTOEFL義務付けを」首相に自民提言』(http://www.asahi.com/politics/update/0408/TKY201304080323.html)
英語教師になるには、TOEFL80点以上を必要条件にすることも提言されたそうです。

ちなみに、TOEFL(Test of English as a Foreign Language)は、1964年に英語を母国語としない人々の英語コミュニケーション能力を測るテストとして、米国非営利教育団体であるEducational Testing Service(ETS)により開発されました。大学のキャンパスや教室といった実生活でのコミュニケーションに必要な、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの技能を総合的に測定します。
 (http://www.cieej.or.jp/toefl/toefl/index.html)

これまでの日本の大学入試では、上記4つの技能のうち、特に「読む」能力が重視されてきた印象です。「聞く」に関しては、自分が大学入試の時に初めて、ICレコーダを用いたセンター試験が行われましたが、難易度はかなり低かった気がします。とにかくこれでは実用的な語学力は培われません。なので、これからはもっとバランスよく学びましょう、ということなのでしょうか。ただ、ひっかかるのは、なぜTOEFLなのか?ということ、あとは大学に入った後に継続して実用的な英語教育が行われるのか?ということです。

まず、なぜTOEFLなのか、という点では、おそらくアカデミックな英語能力試験を推し量る世界標準なテストとしての地位を確立しているからだと思います。また、TOEFLだけではなく、同様の試験ではIELTS(http://www.eiken.or.jp/ielts/)や日本でおなじみ英検(http://www.eiken.or.jp/)もあるので、これらも選択肢として今後導入されていくのかもしれません。英検は高校生以来受けていませんが、TOEFLとIELTSは大学院留学に必要だったので数回ずつ受けました。受験料が高いんです。TOEFLは一回US$ 225、IELTSは¥24675。一回で基準点をクリアできればいいんですが、自分は苦労しながら、一年かけて基準点に到達できました。これらのテストを大学入試に導入するのであれば、経済的な負担を考慮しなければ経済格差による学力の格差がますます大きくなります。近年、子の学歴と親の収入に強い正の相関関係があるという報告を聞きます。つまり、子どもの学歴は親の収入によって異なるという状況ができあがっているそうです(下図)。もし、TOEFLやIELTSが大学入試の必要条件になったら、これらの団体は受験料収入が跳ね上がるので大喜びでしょうが、経済的に困窮している親やその子はますます苦しくなります。また、TOEFLやIELTSはスコアの有効期間が2年間です。つまり、入学試験時に取得したスコアも、大学2年生の終わりに無効になってしまいます。大学2年生で、そのスコアを持っていることにどれだけ意味があるのでしょうか?その後英語以外の外国語を学習していこうとしている人にとっても、これらのスコアは何の意味も持ちません。実用的な英語能力が培われること、また世界標準に準じた能力を問うことは大賛成ですが、そのテスト方法に関してはもう少し検討が必要ではないでしょうか。センター試験をもっと世界標準に沿った内容にして、その後にスコアが必要な人だけ入学後TOEFLやIELTSを受験すれば十分な気もします。大学入試センターがこのような試験を作れるのか?という新たな疑問が出ますが・・・。

世帯収入と子どもの学力 (対象/小学6年生)

(http://cfc.or.jp/problem/)

また、どのような方法で大学入試が行われたとしても、その後の継続した学習がなければ語学力は落ちていきます。現在の大学教育では、実用的な外国語教育が行われているのでしょうか。学生が語学学習の必要性を感じられなければ、入試の時点以上の発展はありえないと思います。TOEFLやIELTSのスコアを使って大学在学中に交換留学やインターンで海外の大学に留学するとか、講義を外国語で行う、あるいは外国語のテキストを用いるとか、そのような場面を通じて語学学習の必要性を感じる機会がもっと増えればいいと思います。あとは、なによりも当人の学生が勉強しないと。こっちの大学の学部生・院生の学習意欲はすごいです。日本も頑張っている学生はたくさんいますが。

語学力はあくまでコミュニケーションの手段ですが、どのような領域でもその手段があることで選択肢はぐっっと広がると思います。



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