2016年9月12日月曜日

カナダ博士課程修了後の進路

こんにちは。

早いもので、今年の8月でもうこちらに来て丸3年が経ちました。
3年前の今頃、9月は授業が始まり、統計学やらライティングやらたくさんの授業を取って、分からない英語に四苦八苦でした。

今はようやく自分の研究の実験がすべて終了し、これから解析と論文執筆が中心の生活となります。博士課程修了のために残されたマイルストーンは、博士論文の提出のみです。
ここからが険しくて長い・・・という人もいますが、自分はあと1年かからずに終えたいところです。

それと同時に、今後の進路についても徐々に考えなければいけなくなってきました。
今ある環境での仕事を行いつつも、今後の身の振り方を準備する必要がありますが、本当に悩ましい選択です。

カナダでは博士課程を修了したあとの進路は、大きく3つに分かれます。絵では2つですが。



1.研究職に残りたい人(大多数)
博士課程を修了してすぐ、大学や研究機関のポストに就けるのは稀です。したがって、博士課程修了後はポスドク(post-graduate fellow)というポジションに就いて、研究成果を出しつつ、就活をするのが一般的です。しかし、近年の博士課程修了者の増加により2回・3回とポスドクを繰り返すパターンが少なくないのが現状です。なお、Quebec州ではポスドクは最長5年間までと決まっており、以降はResearch Associateなどのポストになる必要があります。

2.教育職に就く人
これは2番目に多い選択肢です。この選択肢では、カナダではどこの大学でも教育を専門とするLecturer(講師)が相当します。 日本では主に教育重視の大学での講師や助教のポストが、専門学校が相当します。この進路では、自らの研究に割く時間はあまりないかもしれませんが、教育に目標がある人はこの選択をする場合が多いです。ポストの数も、比較的多い印象です。

3.臨床に戻る人(少数派)
カナダでは、研究者と臨床家の壁が非常に高い印象で、両方を同時に行う人はかなり少ないです。博士課程まで進むということは、研究者になることをすでに選んでいる人がほとんどですので、臨床に戻るケースは少ないのが現状です。

これもあってか、臨床研究は非常にお金がかかります。研究専門のPTを一定期間雇う必要があり、患者さんの確保も難しい現状があります。

この点では、日本の方が実は臨床研究の環境は整っているのではないでしょうか。
自分は、カナダで学んだ研究の基礎を使い、将来は日本に戻って臨床研究をどんどん行いたいと思いっていますが、それには協力してくれる臨床での環境整備が大事です。

もし日本での研究ができる教員ポストがすぐにない場合、自分はポスドクをするのか、あるいは臨床に戻るのか・・・。はたまた、どこかの学校で教育を主に行うのか。

「せっかく博士課程に来たのに、わざわざ臨床に戻るの・・・?」

正直、冷ややかな目で見られることもあるでしょうが、自分としては目標に向けた着実な一歩だと思いますので、研究を行える環境を整えるためにまず臨床に戻ることも選択肢も視野に入れて、就活を進めたいと思います。

こちらに来てつくづく思うのは、メインストリームが必ずしも成功への近道ではなく、あくまで目標によってアプローチは多様だということです。

どうせ、すでに「普通のPTとしてのキャリア」を歩んでいないわけですので、同様に「普通の研究者としてのキャリア」を歩まなくても、いいのかもしれません。

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