2015年11月20日金曜日

リハビリテーション・理学療法系の大学院に留学するということ

こんにちは。

Comprehensive Examinationをパスしてから、ようやく研究に専念できるようになってきました。
自分の在籍する博士課程では、必修科目が8科目(19単位)と、選択科目を最低2科目(6単位)以上取得する必要があります。

自分はこちらでの博士課程にすすむ理由が研究に必要な技能を習得することだったので、選択科目をさらに取り、この2年間で計33の単位を取得ました。

必修科目の内容:
Seminar in rehabilitation (セミナー)
Regression analysis (回帰分析法)
Measurement in rehabilitation (リハビリテーション評価法)
Research methodology (研究法)
Research proposal (研究計画)
Teaching and learning in higher education (高等教育での教育と学習について)

選択科目の内容:
Motor control (運動制御)
Perception and action (知覚と行動)
Fundamentals of academic writing  (学術ライティングの基礎)
Biostatictics for health professionals (医療統計)
Fundamentals of academic presentations (学術プレゼンテーションの基礎)
Pronounciation for effective communication (発音)



自分は2013年の8月にモントリオールにやってきて、9月から授業をスタートしたため、特に2013年の秋学期は環境に慣れないこと、また初めての英語での教育ということで非常に苦労したのを覚えています。コースワークがある分、費やす時間と労力は膨大ですが、今となっては、このコースワークを通して得てきた知識と技能が確実に自分の研究者としての糧になっている実感があります。これまでの中学・高校・大学学部・大学院修士での教育で今ほど成長を実感できている時期はないように思います。


現在は最後の必修科目であるTeaching and learning in higher educationを取っています。
この授業がものすごい楽しいです。授業の中で各自一つのコースデザインを完成させていくのですが、コースデザインがこんなに楽しいとは知りませんでした。先生の役割の大半はコースデザインで、あとは実際の授業は学生が主体だというのに目から鱗が落ちる思いでした。いま、自分はBiomechanics の授業をこれまでとは全く違った形態で教えるコースをデザインしています。
これまで教育論に関する授業は一つもとったことがありませんでしたが、この授業が
終わった後ももっと勉強したいと思います。

さて、自分が在籍する学科の大学院はコースワークが多いですが、これは大学によって、また国によっても大きく異なるようです。

例えば同じカナダ国内でもトロント大学などは授業のワークロードはほぼなく、


  • REH 3100H Advanced Rehabilitation Research Issues (0.5)
  • REH 3001Y Rehabilitation Presentations & Proceedings (1.0)
  • An advanced Research Methods course (0.5)
  • の3つのみが必修のようです。
    http://www.rsi.utoronto.ca/doctor-philosophy-phd

    またオーストラリアの大学院、たとえばシドニー大学などでも博士課程では授業はほぼ無いようですね。


    今後、リハビリテーション系の領域でも日本国内で理学療法士・作業療法士の資格をとった後、大学院で学位をとるため留学をする人はおそらく増えていくでしょう。しかし、海外に行って、一流の研究機関で最先端の研究をして学位を取って、自分の身になるものはおそらく論文と自分の研究プロジェクトで培った知識と技能が主だと思います。それはそれで立派な成果だと思うのですが、やはりその後、最先端の理想的な環境でない状況に置かれても自立して研究ができるだけの研究者としてのスキルがあるのか、ないのか、それが研究者として成功できるかというひとつの分かれ道な気がします。

    自分は、日本のリハビリテーション系大学院というまだまだ発展途上の環境を良くしていきたいという思いがあります。そのような環境では、世界最先端の研究を行う同僚もいなければ、資金も資源も限られています。そのようなときに必要なのは、博士課程でいかに大きなRCT(治療効果を検討する実験研究)やインパクトの強い論文を書いたか、のみではなく、研究者として周辺領域の研究者と同等の学術的なレベルで一緒に仕事ができるのかや、研究の方法論をしっかり知っているのか、また臨床や地域の現場にあるニーズに科学的にアプローチできる術かあるのか、がとても大事な気がするのです。

    留学の目的やキャリア目標にもよるのかもしれませんが、自分のように研究の基礎から学びたいという人には、ぜひ徹底的に授業も充実したプログラムをお勧めします。もちろん大学院卒業までにかかる時間と労力は膨大ですが、日本の大学院やそのほかの研究に特化した大学院プログラムと比べて得るものははるかに大きい印象です。

    結論からすると、今は自分の選んだ道が正しかった実感が少しずつわいてきて、少しずつ自信になってきた、ということです。現実には授業の準備、研究のデータ測定、プロトコール発表の準備などでてんやわんやで、まだまだ博士課程修了までの道は遠いですが。。。

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