2016年8月29日月曜日

あっという間の8月‐後編

両親が帰国した8月15日、今度は日本から大学学部生4名がやってきました。
今回のこの企画、自分がカナダで大学院生である間に行いたかったことの一つで、昨年から少しずつ準備してきました。

今回の研修のテーマは、主体的に体験することを目的としました。ただの見学旅行ではなく、自ら考えて実際の学生生活を短期間体験してもらう、ということがテーマです。そのため、研修前の準備も盛りだくさんで、研修中も学生たちは大忙しでした。

参加者
自分の出身大学の理学療法学専攻3年生の学生4名

研修期間
8月15日から8月29日

研修内容

①日本に関する英語でのプレゼン:
自己紹介、理学療法学教育、医療・介護保険制度、学生生活、災害時の理学療法体制を紹介しました。学生たちは日本にいる間からプレゼン準備をすすめ、研修中に自分で所属する研究室で臨床家や研究者に対して1度、また大学で先生や学生に対して1度プレゼンを行いました。1回目のプレゼンはまだ緊張と練習不足でほとんど聴衆を見て話せていませんでした。プレゼンのスキルアップを目指して、1回目のプレゼンの後は学生同士でプレゼンの批判的検討をして、2回目にむけて修正をしてもらいました。2回目のプレゼンは学生も堂々と発表していて、ポテンシャルの高さを感じました。

②研究室訪問:
McGIll大学や理学療法に限らず様々な分野の研究室訪問をしました。結果的にはMcGill、University of Montreal, University of Torontoの3大学で9つの研究室を訪問しました。自分がモントリオールに来てからお世話になっている先生方を訪問していくという内容でしたが、結果的には幅広い分野の研究を見学・体験する機会になりました。

③実験でのデータ測定・解析・結果の考察:
今回の研修前には準備として、自分の研究に関連する論文を2グループに分かれて読んでもらい、今回の研修中、トロントへの電車での移動中に一緒に論文に関するディスカッションをしました。そして、研修の後半で自分が行っている研究のデータ測定・解析の一部を実際に行ってもらいました。データ測定は脳卒中患者さんでの立位リーチ動作を3次元動作解析装置を用いて測定しました。その後のデータ解析は一緒に進めました。

④カナダでの臨床の話・見学:
まず、カナダと日本で理学療法士として働いた経験をお持ちの知人に、日本・カナダでの臨床に関するお話を聞かせてもらいました。また、自分が所属する研究所に併設しているリハビリテーション病院のPTに臨床の見学をさせてもらいました。臨床のお話し、見学を通して理学療法士の役割の相違点を知ることができました。

⑤McGill大学プロフェッショナルマスター課程の卒業研究プレゼンテーション:
滞在期間中に、プロフェッショナルマスター課程の卒業研究プレゼンテーションを聞くことができました。プレゼンは5分間と短いですが、学生たちが一年弱かけて臨床家・先生たちとともに取り組んできた研究ですので、すごい意気込みでした。またこのプレゼンで選ばれたグループはカナダ理学療法学会・カナダ作業療法学会で発表することができるということもあり、盛り上がってました。

⑥現地での生活:
今回は自分の自宅近くのB&Bで宿泊先を確保しました。ホテルでの宿泊では体験できない、海外での家事全般、買い物、料理、バスやメトロでの通勤など、学生として生活するのに必要な体験を行ってもらいました。道に迷い、フランス語に戸惑い、買い物に四苦八苦し、食後に近くの公園に散歩に行き・・・すべて、現地で生活してはじめてできる経験です。

⑦McGIll大学の学生との交流:
日本の大学生はやはり英語が思うように話すことができず、言語的な壁がありなかなかこちらの学生と交流するのが難しいです。ただ、自分が以前Teaching Assistantで教えていた学生の一人に日本語が話せる学生がいましたので、彼にモントリオールの案内をお願いし、学生たちと観光してもらいました。英語が思うように話せず、もっと勉強しないと・・と感じるのも勿論大切ですが、言語の壁を越えて、学生交流ができる良い機会となったようです。

研修の費用
研修費用の合計は一人当たり約$2,000でした。
飛行機代:$1,300
宿泊費:$325(B&B)+$90(トロントホテル)
交通費:$135(モントリオール定期)+$180(トロント移動費)
食費:$50

この研修を計画し始めた際の見積もりでの目標は、一人あたり$3,000を超えないことでした。今回の研修で協力してくれた先生方は完全にボランティアでしたので、研修費用が大幅に低く抑えることができました。快く学生たちを受け入れてくださった先生方に感謝です。

今後の課題は、まずこの研修を継続することです。また、大学の講義を聞くことができませんでしたので、9月に入って学生たちと一緒に聴講するのもいいかもしれません。そして、この研修プログラムはまだ経済的な援助がありません。今回の学生も自費で参加しています。$2000は大学生には非常に大きな出費です。どのような経済状態にある学生も参加できるようにするために、今後はこのプログラムが経済的な支援を受けられるようにしたいものです。

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