2015年5月8日金曜日

リハビリテーション研究

こんにちは。

今日は大学院の研究計画発表会でした。今回は自分は発表ではなく、聞くほうでした。
研究計画発表は毎年3回、春、秋、冬に行われます。

自分の通っている大学院は修士・博士課程含めて学生数が約50名いて、すべての学生が修了するためには研究計画の発表を行うことが義務付けられています。

この研究計画発表会とDefenceに参加するといつも思うのですが、リハビリテーション研究は非常に幅が広いです。たとえば、今日の研究タイトルは次のようでした。

① 多発性硬化症患者における自己管理テキストブックの開発と改良


②  サウジアラビアにおける多発性硬化症患者の生活レベル、健康観、生活の質に関する調査


③ 脳卒中に伴う半側空間無視:目標物への歩行と仮想空間を利用した評価方法の確立


④  軽度頭部外傷患者における知覚ー認知トレーニング:臨床的な回復にむけたステップ 

タイトルだけでは伝わりづらいですが、研究デザイン、対象者、研究フィールドなどは本当に多様です。たとえば上記①は博士課程の学生ですが、プロジェクトの中にはテキストブックの執筆が入っています。その執筆の過程で実際の患者さんや専門職を巻き込んだ、参加型の非常にダイナミックな本になるようです。また②はタイトルにあるようにサウジアラビア出身の学生のプロジェクトで、リハビリテーションには疾患そのもののみではなく文化、宗教など複雑な因子が関わることをよく表していると思います。上記2つは疫学研究グループの学生です。


一方で③の学生は仮想空間(バーチャルリアリティ)を利用した半側空間無視の研究です。こちらは先に挙げたものよりもサンプル数はずっと少ないですが、半側空間無視の病態のメカニズムに焦点を当てた評価方法を模索する研究です。


④は参加しなかったので詳細は分かりませんが、おそらくRCT(無作為化比較試験)だと思います。


このように、ひとえにリハビリテーション研究といっても、中身は明らかに異なるアプローチを一つにまとめた総称にすぎません。しかし、異なるアプローチの知見を集めるとしっかり体系づけられるところが面白いです。

リハビリテーション分野の研究で共通して理解する必要があるのは、統計学かもしれません。これがわかると細かい各論が理解できなくても、何を知りたいのか、また研究デザインは目的を解明するのに妥当なものなのかを判断できるようになるようです。


ただ、統計学の力が全く及ばない分野、たとえば質的研究(Qualitative Research)もあります。なので、「これさえ分かればリハビリテーション研究は理解できる!」という分野はどうやらないようだ・・・というのがこの2年間で実感しています。自分のやっている研究が、リハビリテーション研究という分野でどんな立ち位置にあるのか、しっかり理解してほかの領域との関連性を見失わないことが大事なようです。そうしないと、自分の行っている研究だけが正しいと錯覚することになります。実際にそのような研究者は少なくないように感じます。










 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿